星降る夜のリストランテ
La Cena

2001年３月１７日より新宿シネマカリテにてロードショー

『BARに灯ともる頃』のエットレ･スコーラ監督が描く普段着のイタリア
庶民的な、おだやかな暖かさが全編を包みこむ

【解説】
　『BARに灯ともる頃』(89)の名匠エットレ･スコーラ監督の新作。舞台は今回もイタリアの生活に密着したローマのリストランテ。本格イタリア料理が作られる厨房、テーブルに並べられた料理を口にしながら会話をするお客たち、それぞれのエピソードが紡ぎ出す、暖かさとユーモアにあふれた一晩の物語。

　出演は、女主人フローラに『隣の女』『リディキュール』のファニー･アルダン、哲学教授に『イノセント』『流されて』のジャンカルロ･ジャンニーニ、『ラスト･ハーレム』のアニー･ジラン、そしてスコーラ作品でおなじみステファニア･サンドレッリなど名優が顔を揃えている。

(1998年イタリア、フランス映画/1時間48分　シネマスコープ/ドルビーデジタル)
配給：アルシネテラン
公式ページ：http://www.alcine-terran.com/data/dinner/dinner.html


【ストーリー】
　日も暮れて店先に灯りがともる頃、賑やかなリストランテの夜が始まる。「アルトゥーロの店」はローマにある町のイタリアンレストラン。女主人フローラは客を迎え入れ、夫で主人のアルトゥーロはテーブル席から店内の様子を見守る。レストランに集まる客はさまざま、常連の老詩人、親子、恋人、不倫している教授と女学生。客目当てに訪れる絵描きや魔術師もいる。彼らは並べられた食事に舌鼓をうちながら、思い思いの話をしている。議論をしたり、愛を語りあったり、誘惑したり、大事な告白をしたり。美味しいお酒と食事の力を借りて彼らの話は本音が見え隠れしていく、、、

情報提供：アルシネテラン
（写真も含む)

【みどころ】

　各テーブルのお客さんは個性的といえば個性的だけど(ヘンな日本人家族も出てきます)、特別な事件をまきおこすわけでなく、イタリアの庶民的なレストランの一日はこんな感じに過ぎていくのかという感じです。各テーブルのお話は、可笑しかったり、しんみりするお話もあったりするのですが、極彩色な面白さではなく、普段感覚のやわらかな面白さが、暖かさが積み重なって、充足した満足感が得られていく映画です。

　それぞれのテーブルでそれぞれのエピソードがあり、それぞれが、酒の場や食事の場でありそうなお話だったり、可笑しいお話だったり、寂しさを感じるお話だったり、それぞれが夜がふけると共にきれいにまとまっていきます。

　リストランテの中では、誰もが主役で、時にはエキストラだったりします。作りは非常に凝っていて、カメラは店内を縦横無尽に動き回ります。さっきまで描いていたテーブルのお話が、隣のテーブルの描写になっても、横から声だけが聞こえてきていたり、(これが可笑しさがまだ続いているのがよい)、後ろの席で、画面の隅っこで、普通だったらエキストラがいるような場所に、出演者が、楽しそうな表情をしていたり、哀しみの表情をしていたりしており、画面の隅々、音の隅々まで楽しめて、とってもうまいと思います。

そして、ラストはやっぱりエットレ・スコラらしい、ちょっと可愛いエピソード。やっぱり、この監督は幸せな気分にさせてくれるのでした。飲み会などで店を出るときに、もうちょっといたかったな、と思わせるような、あの心地よさ。後味のよい、心地良い余韻にひたれる映画。観るわたしたちも、ワイン片手に楽しみたいですね。

【サウンドトラック盤】

音楽はアルマンド･トロヴァヨーリ。
エットレ･スコーラ監督とアルマンド･トロヴァヨーリは長年の名コンビで、作品数の多いスコーラ監督作品の多くをトロヴァヨーリが手がけています。スコーラ監督＆トロヴァヨーリ音楽の作品集CDも発売されています。(参考)

トロヴァヨーリというとラウンジ系ミュージック(「黄金の七人」「女性上位時代」など)が渋谷を中心に流行しましたが、この「星降る夜のリストランテ」では作品のイメージそのままに、暖かなやさしい曲を中心に哀愁ある曲やとぼけた味のある曲などが散りばめられています。

[入手情報]
輸入CD店(HMV,タワーレコードなど)で入手可能です。
(2001.3 現在)

RCA
74321-64226-2 (OST 140)

La cena
Musica composta e diretta da
ARMANDO TROVAIOLI

(「星降る夜のリストランテ」サウンドトラック)